LS3000

  • PURE SPEED低歪、高ダイナミックレンジ、広帯域、仮想同軸3ウェイ17スピーカーシステム
  • アレイ型の干渉問題を克服するパッケージング
  • 圧倒する迫力、エッジの効いたハイトランジェントサウンド、歪感のない軽快な中高域。
  • リスニングルームに充満する切れのある重低音・・・・・
  • あらゆる音楽ソースを忠実に再現し、弊社アンプ製品群の能力を発揮することを目指してLS3000は開発されました。
  • 歪率、帯域、トランジェント、ダイナミックレンジ、音像定位など多くの要素を高次元で充実させた究極のスピーカー。
  • ※本製品は受注生産品です
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PURE SPEED

アレイ駆動

アレイ駆動

PURE SPEED■歪率低減の効果的な手法は、能率を高め、振幅を減らすことです。高能率が低歪になるとは限りませんが、同等の音圧を得るのであれば、機械的な振幅が小さく、ボイスコイルの電流が少ないほうが、低歪率化が容易になります。大口径ウーハーをベースとした大型ホーンシステムもこうしたアプローチの一つですが、コンプレッションドライバにおける空気粘性の非線形の影響で2次歪が発生します。(ホーン型の歪の詳細はこちら)そこでLS3000では、これとは異なるアプローチで能率を高める方法を採用しました。

■LS3000の高能率化はスピーカーユニットのアレイ駆動(複数駆動)によるものです。アレイ型スピーカーは、駆動するスピーカーユニット数が増えるほど能率が上がり、1ユニットあたりの振幅が減って、歪率やダイナミックレンジなどの諸特性が改善されます。またトランジェント性能の優れている小口径軽量コーンのスピーカーユニットは耐入力が小さいため、歪率やダイナミックレンジでは不利ですが、アレイ駆動を組み合わせることで耐入力を増大させ、振幅を減少させ、歪率を抑え、ダイナミックレンジを広げることが可能です。結果、音質的に重要な、トランジェント性能と低歪率を両立させることが可能です。

■LS3000は、低歪率、高トランジェントのユニットを厳選、ウーハー4ユニット、ミッドレンジ12ユニット、ツイータシングル駆動の3ウェイ17スピーカーシステムとなっています。これほどのユニットを使っていながら、高さ方向で容積と振動面積を確保するデザインを積極的に取り入れることで、設置面積を30cm×41.7cmに抑えています。また、音源が縦方向に長いアレイシステムでは、水平指向性が広く(サービスエリアが広い)、垂直指向性が狭いので床天井反射を大幅に低減しています。特に大きなリスニングルームでは、通常のスピーカーと異なり垂直方向での拡散がないことから、距離による音圧の減衰も約1/2程度に抑えられるため、少ないパワーで大音圧が得られるので、低歪になります。
PURE SPEED

干渉の克服

干渉の克服

PURE SPEED■アレイ型スピーカーは、様々な問題があって普及していません。アレイ型スピーカーを近距離で聞くと中高域においてに実用に耐えない周波数特性上のディップが発生するという問題があるからです。従って距離を取れるPA用のスピーカーを除き、家庭用のスピーカーとしてはあまり実用例がありません。アレイ型スピーカーで中高域に周波数にディップが生じるのは、各ユニットからリスナまでの距離が異なるため、ユニットから放射された音が、時間的に(位相が)ズレた状態で合成されるためです。この時間差=位相差が180度になる周波数であれば、ユニット同士の基音と奇数次高調波歪が打ち消しあい、大きなディップが発生します。しかし偶数次高調波歪は倍の振幅となるため、高調波歪率が大幅に増大します。この干渉は、各スピーカーユニットとリスナまでの距離に差異があるため発生しますから、この距離差を小さくすれば、干渉周波数は高域にシフトします。単純に考えればリスナとの距離が離れているか、或いはツイータの軸上でのみリスニングすれば、この差異は無視できるほどに小さく出来ますが、使い方や部屋のサイズが限定され現実的ではありません。そこでLS3000は、複数のスピーカーユニットをコンパクトにまとめ、想定される距離差から計算される干渉周波数より低い周波数でハイカット側クロスオーバーを設定するという方法により問題を克服しています。弊社はスピーカーユニットの配置、スピーカーとリスナの3次元的な位置関係、スピーカーの指向性などから、干渉周波数を算出するシュミレーションプログラムを開発。近距離のリスニングでも干渉の問題が生じないアレイシステムのデザインを目指しました。

PURE SPEEDアレイ駆動における干渉

  • 周波数1=(距離A-距離B)/(2×音速)
  • 周波数2=距離C/(2×音速)
  • 周波数1>周波数2なら周波数1が干渉周波数
  • 周波数1<周波数2なら周波数2が干渉周波数であるが周波数1の影響も多少残る
  • ※距離C=ユニット間距離-高域の有効振動直径。
  • ※距離B=リスナまでの距離・・・これが大きいほど干渉周波数が高域に押しやられる

■ウーハー・ツイーター
ウーハーの干渉周波数は、リスナまでの距離2m(高さ107cm、軸上オフセット0m)の場合、1.09KHzであり、受け持ち帯域300Hzの外にあるので問題になりません。またツイ-タはシングル駆動なので、干渉が起こりえません。扱う波長の短いツイータは、干渉の克服は困難ですから、シングル駆動にしなければなりません。

■ミッドレンジ
干渉周波数を高域にシフトするにはミッドレンジをコンパクトにまとめることです。まず配置ですが1列12ユニットのトーンゾイレ配置では上下に長く、コンパクトは言えません。そこで2列X6 =12ユニットとしてトーンゾイレの1/2のサイズにまとめるレイアウトとしました。更にユニット間の距離をギリギリにまで詰め、仮想同軸配置された中央のツイータも65φと小型ユニットとするなど、徹底したコンパクト化を図りました。結果、ツイータ軸上より15.5cm低いリスニングポイントで、リスナまでの距離2mの場合、干渉周波数は3.99KHzとなり、ミッドレンジの受け持ち帯域を3KHzとすることで、干渉周波数を帯域外に追いやっています。実際には1m程度の距離でツイータ軸上オフセットを大きくとっても、大きな周波数ディップは見られません。これは隣接するスピーカーユニット同士の距離から、有効振動径を差し引いた距離、すなわちブランク部分が小さいほど周波数ディップが軽減するためです。複数のスピーカーの放射パターンは分割振動をしない全面駆動領域では、一つの大きな音源の如く振る舞うからです。しかし高域では、分割振動、コルゲーションやセンタードーム分離などで有効振動半径の減少が生じるので、指向性が変化し、複数の球面波として再生された音同士が干渉を引き起こすのです。LS3000は、ミッドレンジ同士のブランク領域が3cm、ツイータ部分のブランク領域が6.6cmと極めてコンパクトにデザインされています。さらにスピーカーユニットをコルゲーションやセンタドーム分離機能のない全面駆動のものとし、かつ分割振動周波数の高い比弾性率の高いユニットとすることで、位置的に悪い場所であっても周波数ディップを大幅に緩和することができました。

3ウェイ仮想同軸・面音源

3ウェイ仮想同軸・面音源

PURE SPEED■単一のスピーカーユニットでは歪率、ダイナミックレンジ、指向性の優れた周波数レンジは限定され、この領域からを外れると歪率、指向性、周波数特性が悪化します。このためスピーカーは2ウェイ、3ウェイ、4ウェイと帯域分割を進めてきました。しかしマルチウェイを進めすぎると、周波数によって音源位置はバラバラになり、アレイ数も増やしにくくなります。ツイータのアレイ駆動は困難ですから2ウェイはアレイ駆動できる帯域が狭くなります。逆に4ウェイにアレイを組み合わせるとパッケージングが大変難しくなり、アレイ数を確保しにくくなります。結果、LS3000はオーソドックスな3ウェイシステムとして設計され、中高域は仮想同軸配置とし、大型システムが苦手とする、音像定位についても優れた性能を発揮できるコンストラクションとしました。

PURE SPEED■ウーハーは16cm防磁型ペーパーコーンユニット4基による構成です。バスレフエンクロジャーを組み合わせ、45Hz(-3dB)の周波数特性を確保しました。内部損失に優れた0.307g/cm2のペーパーコーン、8.2Tesla/mの磁気回路の比較的強力なユニットです。高域は3KHzまで伸びていますが、振動板の重いウーハーに中域まで負担させると過度特性が悪化するので、333Hzまでしか使わない余裕ある設計です。


■ミッドレンジは9cm防磁型マグネシウム&アルミコーン複合振動板ユニット12基による構成です。密閉型エンクロージャーを組み合わせ130Hz~20KHzの再生レンジがありますが、これを333Hz~3KHzで使います。わずか0.06g/cm2の軽量振動板に3.3Tesla/mの磁気回路を組み合わせ、目が覚めるような高トランジェント性能を示します。


■ツイーターは2.5cmネオジウム防磁型/チタンドームユニットです。ウーハーとミッドレンジがアレイ駆動で能率が上がっているのでツイータにも高能率が要求されます。ホーン型であれば高能率化は容易ですが、クロスを3KHzにするには大型化は避けられず、ミッドレンジと仮想同軸配置とすれば、ミッドレンジエリアをコンパクトにすることが出来ません。そこで、LS3000のツイータはドーム型でありながら、ウーハーとミッドレンジに釣り合う高能率化を図っています。低域は1.3KHzまで延びており、これを3KHz以上で使うので余裕があります。高域は25KHzまで延びており可聴帯域はほぼフラットです。
PURE SPEED

■クロスオーバーネットワークは、スピーカーシステムのインピーダンス、周波数特性を精密にモデリングした上で、周波数特性上、大きな凹凸が出ないよう、また十分な遮断特性が得られるよう設計されています。クロスオーバーネットワークを構成する、コア入りコイル、電解コンデンサは大きな歪を発生させるので、LS3000では、これらの素子を一切使わず、歪の発生が殆ど皆無である、空芯コイルとポリプロピレンフィルムコンデンサのみを使用しています。回路は2mm厚ガラスエポキシン基板で最短配線にまとめられ、これを2mm厚の金属フレーム経由でバックパネルに結合する堅牢なものとなっております。クロスオーバーネットワークからの3ウェイ出力、3ウェイの各ユニット入力はそれぞれ外部端子に出ており、エンクロジャー外部のジャンパでクロスオーバーネットワーク出力と各ユニット入力を結線するようになっています。従ってバイアンプ、トライアンプなど様々なマルチアンプシステムの構築が容易です。

エンクロジャー・群遅延

エンクロジャー・群遅延

PURE SPEED■人間の耳は、低域ほど位相(群遅延)に敏感、高域ほど鈍感です。位相遅れの原因としては大きく3つあります。1つ目はクロスオーバーネットワークによるもの、2つ目はスピーカーユニットの位置関係によるもの(すなわちタイムアライメント)、3つ目がバスレフポートによるものです。1つ目のクロスオーバーネットワークによる群遅延は100Hz~7000Hzの間で0.52msec程度で、殆ど問題になりません。2つ目のスピーカーユニットの振動位置関係ですが、LS3000は上部の中高域ユニットが後方にずらしてあり、ウーハーの振動板位置とミッドレンジ、ツイータの振動板位置のズレが最小になるよう設計されています。この結果タイムアライメント誤差は0.03msec程度で問題になりません。LS3000において最も大きな群遅延を生み出すのは、3つ目のバスレフポートの群遅延です。ポートのチューニングによっては大きな群遅延が発生しますが、LS3000ではこれを最適化することで、最大群遅延を45Hz/12.5msecに抑えています。この周波数では群遅延が40msecを越えるあたりでキレがわるくなりますら、十分な数値です。

■エンクロージャーによる不要振動が多いと、スピーカーの音を濁らせ、音質が悪化します。またエンクロジャー内部の定在波も、歪率や周波数特性悪化などの要因になります。LS3000のエンクロジャーはウーハー部分とミッドレンジ・ツイータ部分を分離構造とした上で、ウーハー部分は内部を不等間隔で4分割しており、各容積を小さくしています。これによって定在波の高域シフトと分散(吸音しやすくなる)、剛性の強化(共振周波数の高域シフト)を図っています。エンクロージャの最大肉厚は最小1.8cm~最大で6.3cmもあり、内部は複雑な補強によって極めて高剛性です。
PURE SPEED

■サランネットは従来、スピーカーを保護するだけでしたが、LS3000のサランネットはミッドレンジ前面にハイカット吸音材が添付されています。ミッドレンジは3KHz以上は不要なので、この上の周波数をサランネットでカットできれば歪率を一層低減することができます。リスナとの位置関係にもよりますが、歪率はサランネットありとなしで、1KHz~3KHzにおいて最大4dB程度の違いがあります。

製品仕様

製品仕様

構成
3ウェイ17ユニット・バスレフ型スピーカー
ウーハー
16cmペーパーコーン型ウーハーx4
ミッドレンジ
9cm マグネシウム-アルミ複合コーンx12
ツイーター
2.5cmチタンドームx1
能率
96dB/2.83V
周波数特性
45Hz~25KHz (-3dB)
クロスオーバー周波数
333Hz/3KHz (-12dB/oct)
定格インピーダンス
8.6Ω~32.6Ω(ウーハー)
7.8Ω~10.5Ω(ミッドレンジ)
6.1~10.4Ω(ツイータ)
6.1Ω~32.6Ω(全域)
8Ω(直流)
高調波歪率※
39.0Hz 0.186%
50.4Hz 0.256%
62.0Hz 0.274%
79.9Hz 0.290%
100Hz 0.320%
107Hz 0.392%
127Hz 0.176%
159Hz 0.158%
199Hz 0.058%
250Hz 0.027%
315Hz 0.124%
390Hz 0.253%
504Hz 0.061%
620Hz 0.022%
799Hz 0.072%
1000Hz 0.118%
1070Hz 0.026%
1270Hz 0.197%
1590Hz 0.021%
1990Hz 0.014%
2500Hz 0.043%
3150Hz 0.065%
4000Hz 0.055%
5040Hz 0.063%
6200Hz 0.031%
7990Hz 0.031%
10000Hz 0.033%
適正距離※
リスニング高 ツイータ軸上 ±10cmの場合→115cm以上
リスニング高 ツイータ軸上 ±15cmの場合→150cm以上
リスニング高 ツイータ軸上 ±20cmの場合→190cm以上
リスニング高 ツイータ軸上 ±25cmの場合→275cm以上
寸法(幅×高さ×奥行き)
300mm×1560mm×417mm(サランネット含まず)
300mm×1560mm×462mm(サランネット含む)
重量
64.5Kg (サランネット含まず)
65.5Kg (サランネット含む)


高調波歪率
※音圧82dB1KHz、距離2.75m、高さ1m 
※音圧は、1m/85dBの音量に相当
※D/Aコンバータ、コントロールアンプSC1000、パワーアンプSP2000、コンデンサマイク、高性能マイクアンプ、A/Dコンバータ、室内特性の歪を含む
※歪率は位置、周波数の微妙な差異、エージング状況でも変化します
適正距離
※いずれもスピーカーをリスナに振り向けて角度をつけたセッティングの場合